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WABI SAVIE QUEBEC

2020 / 04
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頭を打って読む、色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

2016/03/06(Sun) 13:50
凍る道を歩くことは結構慣れている
が、その朝は思い切り滑った
そして頭を打った
かろうじて私の頭には髪を止めるバレットがあってそれはばらばらに壊れていた
そのバレットが私の頭を守ってくれたと思う
もしかしたらそれでもやはり強く頭を打っているかもしれない
脳震盪は起こさなかった
でも久々に転んだというショックだけが残った

あまりにその後普通に過ごしていて夕方あたりになって
「もしかしたら明日の朝はやってこないかもしれない」
そういう不安に駆られて
まだ旅から帰ってこない相棒に念のため遺書のような手紙を残し
義理の息子に「頭を打ったからできれば今夜はここで彼女と過ごしてくれるとありがたい」と書いたら
早速連絡が来て家に来てくれた
本当にありがたい

そして家で静かに過ごした方がいいと自分で判断し、酒も飲まず、ベッドに8時に入り
一冊の本を手にした
友人が貸してくれた私が読んでいなかった春樹の本

途中眠気に誘われたけれどもしかしたら明日の朝が来ないかもしれないという理由で
最後まで無理して一気に読んだ

で、こうして今朝もきちんと生きて起き上がることができたのだけれど・・・
死は思ったより近くにいるというこの感覚

私の一番ひっかかったワードは悪霊
悪霊から逃げたクロに自分を重ね合わせる
悪霊は多分そこらじゅうにいる
悪霊から逃げることはやっていいことだと思う、むしろ必然だ
がその後助かった自分に安心すると同時にそこを立ち去って残してきた人のことを思えば罪の意識を持つ
皆を助けることは多分無理だ
その人達も全力で逃げないといけないのだ
多分それは自然災害、津波、テロリストも一緒、悪霊なのだ
昨日の朝、私の足をすくったのも悪霊かもしれない(笑)

感受性が高いようで鈍感な主人公は
人に会うことで問題を解決していくことで自分の凍土を溶かしていく
ただ理系の彼がなぜ4人の友人から全否定された時点で論理的に解いていかなかったのかは
ちょっと疑問だけれど彼もまたショック状態で感情に鍵をかけることで乗り越えられたのかもれない

春樹さんの小説の主人公は大抵「僕」だったように思っていたけれど今回は「おれ」が時々出てきた
男性はいつから僕からおれになるんだろう
それは別の大人になる分岐点なのかそれとも昔の自分との決別なのか

フランス映画のように終わりは私達に託されている

最近の中では気に入った小説だった
時々読み直したい一冊

頭は痛くないが読書のせいか首が痛い・・・









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イサム・ノグチ 宿命の越境者

2014/04/21(Mon) 19:47
イサムノグチ、ずっと彼の作品に惹かれてきた。
東京で見た小さな彫刻に感銘を受けて以来、モエレ沼も牟礼の庭園美術館もNYの庭園美術館も訪れた。
日本人である私達に非常に馴染みやすい素材の作品、そのかたちの素直さ、その前衛的であった作品は
今日でもなんの遜色もなく私達の目に新しい。
彼のバイオグラフィーをしっかり読んだのはこの本が初めてだった。
正直この本は非常に面白かった。必ず栄養になる本である。
彼の母レオニーの息子の才能を見出すその千里眼は実にすばらしい。(松井久子さんの映画も観たい)
親としての最大の仕事とは子供の才能を見出してきちんと伸ばしてあげる事なのではないかと思う。
そして医者にでさえなれたのに芸術家を選ぶ彼の潔さにも脱帽だ。
ものを作る人に共通するその作ることに対しての集中力が本からさえ伝わってくる。
アーティストの大家とは一般的にその作品数が多いという。
それは湧き出るような制作意欲と制作能力によるものだと思う。
それにしてもイサムノグチのその交友関係の幅の広さに驚く。
建築家と一緒に仕事をすることは彫刻家にとってその時代は好ましくないこととされたようだが
彼にはそのボーダーラインがなかった。
むしろこのコラボレショーションから彼の彫刻の域はどんどん拡大し、
最後には彫刻としての公園という形へ発展していったようにみえる。
画家、建築家、陶芸家、とにかくそのそうそうたるメンバーとその関係を通して時代を知るという意味でもこの本は興味深い。
特に魯山人の隣で暮らした日々の行は、その新婚生活よりも、一流の美を探求する二人の姿を想像しただけで鳥肌ものである。
日本の美をきちんと理解してそれを大切にしないといけないということを説いた人としても、私は非常に尊敬する。
私が住んでいるカナダはまさしく移民の国でハーフの巣窟である。
若い世代はそれぞれのオリジンに支えられて、伸び伸びと生きていけているように見える。
広島の原爆で集結する第二次世界戦争の時代を生きたアメリカと日本のハーフの苦労とは比べ物にならないと思う。
それでもたった一つの出来事で彼らの立場が急激に社会的に弱い立場になりうる。
それはすべての移民にとっても同じ事だ。
出来事は私達にはコントロールできない。
戦争、テロ事件、原発事故、狂気的な政治家の台頭など危険はいつも隣り合わせだ。
そういう寸断されるような出来事に自分の人生が引き裂かれても、
振り回されても強く生きていけるだけのオリジナリティと生活力を
自分が構築していかないといけない。そういうことも彼の人生から学びたいと強く思う。
この本を読んだ今、次回庭園美術館を訪れるとき、どのように彼の作品が目に映るのか楽しみである。


イサム・ノグチ(上)――宿命の越境者 (講談社文庫)イサム・ノグチ(上)――宿命の越境者 (講談社文庫)
(2003/07/15)
ドウス 昌代

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大聖堂

2013/12/19(Thu) 08:42
大聖堂 (上) (ソフトバンク文庫)大聖堂 (上) (ソフトバンク文庫)
(2005/12/17)
ケン・フォレット

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野蛮人の愛読書であったこの本は
英語とかフランス語で読むには
どうも難しそうだったので
日本で買ってきて
ケベックからの帰りのバスで読み始めた

最初の部分は「このままでは好きになれないかも」と思っていたが
話が進んできた途中の感想
これは面白いかも・・・

全三巻

まだまだ先が長い




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日本庭園の心得

2013/08/13(Tue) 21:58
正確には

「日本庭園の心得―基礎知識から計画・管理・改修まで」
著 枡野俊明

というタイトルのこの本を日本から取り寄せて読んでいる

枡野氏は住職であり作庭家でもある

この本が素晴らしいのは
難しいことはいわずに実際に作る際に必要なことが書いてあり
読めば読むほどだんだん作ってみたくなってくる

石のことは以前フランス人のピエールさんにも多少教えてもらったけれど
ここでは現地での調達の仕方、配置の方法の注意点が書かれている
植木の剪定方法、道具についても書かれており
がんばって日本庭園を作ってみてくださいという感じ
ゆったりしたこころが伝わってくる

こうなってくると鑑賞するのもまた楽しみになるもので
次回の日本行きの目的も増えた

夏場殆ど週末を外で過ごしていることもあり
土や木々に触れる機会が多くて
だんだん外にいることが普通になってきて
室内で仕事していることがもどかしい気がする
もし20数年前に戻れるのなら
造園を勉強したいな・・・

などと思いつつこの本を夜な夜な楽しく読んでいる

すべての世代に超オススメの一冊

teien.jpg

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広島の衣服

2013/05/23(Thu) 00:18
今年絶対行こうと思っている広島

今までなんとなく怖くて避けて通ってきた気もする
でも絶対いつか行かないといけないなと年々感じていた
大学のフランス語の授業で使われた映画HIROSIMA MON AMOURのシナリオ
今はいとことおじが住んでいる
近くて遠かった広島

図書館でたまたま表紙に惹かれて手に取った本
それは「広島の衣服」

hiroshima_news.jpg


ミッシェル アギレラ氏が撮った被爆者の衣服たち
CALOTYPEという撮影方法を使って
大切にディテールまで深く映り込んでいる
こういう手の込んだ仕事をきちんとしてくれるアーティストが
広島の死を無駄にされないように残してくれる

そこには写真と共にその衣服の持ち主が爆心地からどの位はなれた所にいて
どのように被爆しどのように亡くなったのかが書かれている
その無念な死
残された服に刻まれた灼熱の体験

戦争とはいえ
その影響力を知った上で二つの核爆弾を投下したアメリカを
許していいのだろうか?

こんな経験をした国が原発に振り回され
しまいに地震が起きるトルコに原発を売るようなことを繰り返す

人類は簡単には学ばない

ただただ切ない

リヨンで写真展

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naokozo

Author:naokozo
インテリアデザイナー
モントリオール在住
釣りにきのこ狩りに大忙し

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