FC2ブログ

WABI SAVIE QUEBEC

2020 / 08
07≪ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 ≫09

イサム・ノグチ 宿命の越境者

2014/04/21(Mon) 19:47
イサムノグチ、ずっと彼の作品に惹かれてきた。
東京で見た小さな彫刻に感銘を受けて以来、モエレ沼も牟礼の庭園美術館もNYの庭園美術館も訪れた。
日本人である私達に非常に馴染みやすい素材の作品、そのかたちの素直さ、その前衛的であった作品は
今日でもなんの遜色もなく私達の目に新しい。
彼のバイオグラフィーをしっかり読んだのはこの本が初めてだった。
正直この本は非常に面白かった。必ず栄養になる本である。
彼の母レオニーの息子の才能を見出すその千里眼は実にすばらしい。(松井久子さんの映画も観たい)
親としての最大の仕事とは子供の才能を見出してきちんと伸ばしてあげる事なのではないかと思う。
そして医者にでさえなれたのに芸術家を選ぶ彼の潔さにも脱帽だ。
ものを作る人に共通するその作ることに対しての集中力が本からさえ伝わってくる。
アーティストの大家とは一般的にその作品数が多いという。
それは湧き出るような制作意欲と制作能力によるものだと思う。
それにしてもイサムノグチのその交友関係の幅の広さに驚く。
建築家と一緒に仕事をすることは彫刻家にとってその時代は好ましくないこととされたようだが
彼にはそのボーダーラインがなかった。
むしろこのコラボレショーションから彼の彫刻の域はどんどん拡大し、
最後には彫刻としての公園という形へ発展していったようにみえる。
画家、建築家、陶芸家、とにかくそのそうそうたるメンバーとその関係を通して時代を知るという意味でもこの本は興味深い。
特に魯山人の隣で暮らした日々の行は、その新婚生活よりも、一流の美を探求する二人の姿を想像しただけで鳥肌ものである。
日本の美をきちんと理解してそれを大切にしないといけないということを説いた人としても、私は非常に尊敬する。
私が住んでいるカナダはまさしく移民の国でハーフの巣窟である。
若い世代はそれぞれのオリジンに支えられて、伸び伸びと生きていけているように見える。
広島の原爆で集結する第二次世界戦争の時代を生きたアメリカと日本のハーフの苦労とは比べ物にならないと思う。
それでもたった一つの出来事で彼らの立場が急激に社会的に弱い立場になりうる。
それはすべての移民にとっても同じ事だ。
出来事は私達にはコントロールできない。
戦争、テロ事件、原発事故、狂気的な政治家の台頭など危険はいつも隣り合わせだ。
そういう寸断されるような出来事に自分の人生が引き裂かれても、
振り回されても強く生きていけるだけのオリジナリティと生活力を
自分が構築していかないといけない。そういうことも彼の人生から学びたいと強く思う。
この本を読んだ今、次回庭園美術館を訪れるとき、どのように彼の作品が目に映るのか楽しみである。


イサム・ノグチ(上)――宿命の越境者 (講談社文庫)イサム・ノグチ(上)――宿命の越境者 (講談社文庫)
(2003/07/15)
ドウス 昌代

商品詳細を見る
スポンサーサイト



読書 コメント:0 トラックバック:0
コメント:
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック:
トラックバック URL
→http://naokozo.blog67.fc2.com/tb.php/628-a6fbfa9f
Next Home  Prev

プロフィール

naokozo

Author:naokozo
インテリアデザイナー
モントリオール在住
釣りにきのこ狩りに大忙し

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

RSSフィード

リンク